ブランド広告が、化学製品データベースでの見込み客獲得に与える影響

化学業界では、ブランディングは、マーケティングにおいてほとんど実りのない広告費と思われることがよくあります。

なぜ評判が悪いのでしょうか？理由は ROI です。測定が困難だからです。

営業チームが使うスマートフォンの ROI を判断するのと同様に、ブランディングはバイヤーのジャーニーや意思決定において、裏方ではあるものの、根本的な役割を果たす投資のひとつです。

認知されること、常にトップオブマインド（第一想起）になること、リーダーシップを発揮すること、信頼できると思われること、一番好まれるサプライヤーとしての評判を維持・構築することなど、これらすべてがブランディングの目的です。

もしブランディングに価値がないとしたら、なぜペプシコとコカ・コーラは2015年から2018年にかけて、ブランド広告に年間40億ドルもの投資^（1）をしているのでしょうか？

ブランド広告は、お客様が材料選びに足を踏み入れる前から、しっかりとしたビジネス基盤を築き、お客様のジャーニーに影響を与えるために必要な下地作りです。

スペシャルケムでは、以前からブランディングが新規ビジネスに与える影響を測定したいと考えていたことから、特殊化学業界に特化して、１年間にわたって関連データを収集しました。

これには、５つの材料選定プラットフォームで実施したデジタルマーケティングプログラムのトラフィックと見込み客の獲得活動の成果の両方を分析したデータが含まれます。

その調査結果を以下にご紹介します。

人気度指数： 人気度を比較した指数

結果を深堀りする前に、あるコンセプトをご紹介しなければなりません。人気度指数です。

ご注意：データサイエンティストとして、スペシャルケムがこの指標をどのように計算しているかを詳しくご説明します。数学にご興味がない場合は、こちらをクリックしていただくとスキップできます。

ある期間と成分セレクターに対して、化学業界サプライヤーXの人気度指数は、

人気度指数（サプライヤーX） ＝ セレクター内の全製品ビューに対するサプライヤーXの製品ビューの割合／セレクター内の全製品数に対するサプライヤーXに関連したセレクター内の製品数の割合

では、２つのサプライヤーを例にとって簡単に見てみましょう。

数式に関するご説明は以上です。ここからは数式はありません。

ではこの指標をどのように解釈すればいいのでしょうか？

• 人気度指数が１以上： この場合、貴社ブランドに人気があることを表しています。スペシャルケムの全製品データベースの平均に比べ、貴社製品の閲覧は平均して頻度が高くなっています。
  
  
• 人気度指数が１未満： これは警告の赤ランプが点いた状態です。貴社ブランドの人気は平均よりも低くなっています（または全く人気がない場合もあります）。
  
  
• 人気度指数が１： 貴社ブランドの人気は業界の平均値範囲内であることを表しています。

この指数を用いることで、弊社はサプライヤーの絶対的な人気、つまり「トラフィックの総量」を式から取り除くことができます。

このようにして、スペシャルケムは、BASF や Covestro のような世界的リーダーに対し、製品数が圧倒的に少なく、その結果アクセス数が絶対的に少なくなる中小規模の企業との相対的な人気を比較することができます。

貴社の人気度指数についてご興味がございましたら、弊社までお問い合わせください。

コンセプトが明確になったところで、学んだことを確認してみましょう。

人気のサプライヤーは３倍多く見込み客を生む

12か月間に、スペシャルケムのプラットフォーム上で稼働している68のデジタルプログラムによる見込み客獲得のパフォーマンスを比較し、これらのプログラムを２つのカテゴリーに分類しました。

平均して、人気の高いサプライヤーであればあるほど、当然、より多くの見込み客を生み出しています。

しかし、最も興味深い点は、各カテゴリー間の差です。

人気の高いサプライヤーは、同社の製品から、概算で３倍多く見込み客を生み出しており、平均して月に33人の見込み客を生み出しています。一方で、人気の低いサプライヤーは、月に12人の見込み客を生み出しています。

重要な注意点：これらの平均値は業界のベンチマークとして使用されておらず、使用することはできません。貴社の人気度を判断する際に、貴社のパフォーマンスを、上記の月平均見込み客数、33人または12人と比較してはなりません。それは意味をなしません。貴社の見込み客獲得のパフォーマンスは、たとえば、貴社の人気度やリスト内に掲載された製品の数、製品の種類など、多様な評価基準によって異なります。

ウェブサイトの広告バナーが３か月間人気度を高め、ピーク時には300％を記録

ここまでで、人気度が高いことが見込み客獲得活動のパフォーマンス向上につながるということを確認しました。

では、どうすれば人気度指数を高められるのでしょうか？

この質問には何の謎もありません。人気者になるために最も効果的な方法は、ブランド広告キャンペーンです。

68のデジタルプログラムの中で、スペシャルケムのプラットフォームにリーダーボードバナーを１か月間掲載し、各ブランドを宣伝しました。

その目的は、大規模なビジビリティキャンペーンの効果を測定することでした。ご参考までに、弊社のリーダーボードバナーはプラットフォームによって、ひと月に40,000から100,000プリントを生み出しています。

まず、 そのバナーキャンペーンが３か月間、サプライヤーの人気に大きな影響を与えることを確認しました。

プロモーション期間中、弊社は人気度指数の27％増加を測定しました。しかし、最も印象的だったことは、バナーキャンペーンから翌２か月間の大幅な増加であり、300％という大きなピークでした。

その期間の後、人気度は当初のレベルに戻りました。

ブランディング： 醜いアヒルの子から美しい白鳥へ

特殊化学業界では、ブランディングから売り上げへの直接的なつながりがないため、ブランド広告キャンペーンの ROI を測定することは困難です。

これが、多くの事業開発者が広告を脇に追いやり、必要ではあるものの、最小限に抑える費用と考えている一番の理由です。

弊社の分析によると、ブランドの人気を得るためには広告キャンペーンが必須であり、そのステータスは見込み客獲得活動のパフォーマンスに直結することが明らかになっています。

出典：

(1) https://statstic.com/a-comparison-of-coca-cola-and-pepsis-advertising-expenses/